プラグインハイブリッドシステムは、電気自動車の経済性とハイブリッド車の実用性とを併せ持ったシステムです。外部電源から駆動用電池に充電した電気を使用して、EV走行を楽しむことができます。駆動用電池の残量が減少した場合は、ガソリンエンジンを併用するハイブリッド車として走行するように自動制御され、長距離のドライブも可能としています。

警告

ハイブリッド車は電気モーターでの走行時にエンジン音がしないため、周囲の人が車両の接近に気が付かない場合があります。車両接近通報装置が作動していても、周囲の騒音などが大きい場合は車両の接近に気が付かないことがありますので、十分注意して運転してください。

知識

EVインジケーター

ガソリンエンジン停止中や、電気モーターの動力のみで走行しているときに、EVインジケーターが点灯します。

カスタマイズ機能により、EVインジケーターの作動/非作動を設定することができます。

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ハイブリッド車特有の音と振動について

ハイブリッド車は、「READY」インジケーターが点灯し、走行可能な状態でも、通常の車のように、エンジン音や振動がないことがあるため、走行可能な状態であることに気が付かない場合があります。安全のため、駐車時は確実にパーキングブレーキをかけ、シフトポジションをPにしてください。

ハイブリッドシステム始動後は、次のような音や振動が発生する場合がありますが、異常ではありません。

  • エンジンルームからのモーター音
  • ハイブリッドシステム始動時や停止時に聞こえる車両後方および駆動用電池からの音
  • ハイブリッドシステム始動時および停止時に車両床下もしくは後方から聞こえる「コトン」、「カチッ」などの高電圧リレーの音
  • バックドアを開けたときに聞こえる作動音
  • ガソリンエンジンの始動/停止時や低速走行時、およびアイドリング中にトランスミッション付近から聞こえる「コツコツ」、「カタカタ」という音
  • 急加速時のエンジン音
  • ブレーキペダルを踏んだときや、アクセルペダルをゆるめたときに聞こえる回生ブレーキの音
  • ガソリンエンジンの始動/停止による振動
  • リヤシート下部にある吸入口から聞こえるファンの音
  • 空調システムおよび駆動用電池冷却の作動にともなう駆動用電池付近からの音
メンテナンスや修理/廃車

車のメンテナンスや修理/廃車の際は必ずレクサス販売店にご相談ください。特に廃車する場合は、レクサス販売店を通じて駆動用電池の回収を行っていますので、ご協力ください。

システムの構成部品

警告

駆動用電池の取り扱いについて次のことを確認してください。

  • 絶対に転売/譲渡/改造などをしないでください。廃車から取りはずされた駆動用電池は事故防止のため、レクサス販売店を通じて回収を行っていますので、ご協力ください。

    駆動用電池が適切に回収されないと、次のようなことがおこるおそれがあります。

    • 不法投棄または放置され、環境汚染となるばかりか、第三者が高電圧部位に触れてしまい、感電事故が発生する
    • 装備された車両以外で駆動用電池を使用(改造などを含む)し、感電事故、発熱/発煙/発火/爆発事故、電解液漏出事故などが発生する

      特に、転売/譲渡などを行うと、相手にこれらの危険性が認識されず、事故につながるおそれがあります。

  • お車を廃棄するときには、レクサス販売店で駆動用電池を廃棄してください。駆動用電池を取りはずさないままでお車を廃棄された場合、高電圧部品/ケーブル/それらのコネクターにふれると、深刻な感電の危険があります。

    駆動用電池は適切に廃棄しないと、感電を引き起こすおそれがあります。

  • 走行中、車両床下に強い衝撃を受けたときは、すぐに安全な場所に停車し下まわりを点検してください。

    床下に駆動用電池の液もれや損傷が見られる場合、絶対に車両にふれず、すみやかにレクサス販売店にご連絡ください。

  • 車高を下げる改造は絶対に行わないでください。車高を下げると、床下にある駆動用電池が衝撃を受けやすくなり、電池を損傷し、発火や車両火災などが発生するおそれがあります。

注意

DC/DCコンバータ周辺に多量の水をこぼさないでください。

誤ってこぼしてしまったときは、レクサス販売店で点検を受けてください。

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イラストは説明のための例であり、実際とは異なります。

  1. ガソリンエンジン
  2. ラベル
  3. 高電圧ケーブル(オレンジ色)
  4. DC/DCコンバータ
  5. 普通充電インレット
  6. 分岐ボックス
  7. リヤ電気モーター
  8. 充電器
  9. サービスプラグ
  10. 駆動用電池
  11. フロント電気モーター
  12. パワーコントロールユニット
  13. エアコンコンプレッサー

知識

駆動用電池の寿命(リチウムイオン電池)

駆動用電池には寿命があります。

駆動用電池の容量(蓄電能力)は、ほかの充電式電池などと同様に、時間の経過や使用状況にともない低下します。低下の程度は運転のしかた、充電のしかたなど、お客様の使用状況や外気温といった環境により大きく異なります。これらはリチウムイオン電池本来の特性であり、不具合ではありません。なお、電池の容量が低下するとEV走行できる距離が減少しますが、車両性能などが著しく低下するものではありません。

極寒の環境でのハイブリッドシステム始動

外気温の影響により駆動用電池の温度が著しく低くなっている場合(約-30 ℃以下)、ハイブリッドシステムが始動できなくなることがあります。その場合は気温の上昇を待つなど、駆動用電池の温度が上がってから再度始動操作をしてください。

適合宣言

この車両は、ECE100(バッテリー電気車両安全)に基づいた水素排出量に適合しています。

プラグインハイブリッドシステムの作動モード

この車のプラグインハイブリッドシステムは、次の各モードで作動します。

マルチインフォメーションディスプレイでプラグインハイブリッドシステムの作動状況を確認することができます。

EVモード

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充電を実施して駆動用電池に充分な残量がある状態のときは、駆動用電池に蓄えられた電気を使用して、EV走行します。

車両がEVモードのときは、EVドライブモード表示灯が点灯します。

AUTO EV/HVモード

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通常は駆動用電池に蓄えられた電気を使用してEV走行しますが、登坂路や急加速時など、大きな力が必要なときは、アクセルペダルを大きく踏み込むことで、ガソリンエンジンが始動して力強く加速します。

車両がEV走行可能な状態のとき、スイッチを操作することでEVモードとAUTO EV/ HVモードを切りかえることができます。

車両がAUTO EV/HVモードのときは、AUTO EV/HVモード表示灯が点灯します。

HVモード

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HVモード時は、ガソリンエンジンと電気モーターを併用して走行します。

  • EVモードまたはAUTO EV/HVモードでのEV走行に必要な電池残量がなくなると、自動でHVモードに移行します。
  • EV走行するための駆動用の電池残量を温存したいときなどには、スイッチ操作により、任意のタイミングでHVモードに切りかえることもできます。高速道路や登坂路を走行するときは、電気消費量を抑えるために、HVモードで走行することをおすすめします。

車両がHVモードのときは、HVモード表示灯が点灯します。

バッテリーチャージモード

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EV走行に必要な駆動用電池の残量がなくなったとき、スイッチ操作でバッテリーチャージモードに切りかえることにより、ガソリンエンジンで発電した電気を駆動用電池に充電することができます。

  • プラグインハイブリッドシステムの状況により、バッテリーチャージモードに切りかえることができない場合があります。
  • バッテリーチャージモードでの走行時は、車両の走行状況によって充電にかかる時間がかわります。

車両がバッテリーチャージモードのときは、バッテリーチャージモード表示灯が点灯します。

知識

バッテリーチャージモード
  • システム保護などの理由により、次のようなことが起こる場合があります。
    • バッテリーチャージモードに移行できなかったり、解除されたりする
    • バッテリーチャージモードに切りかえてもガソリンエンジンが始動しない、または停止する
  • エアコンの消費電力が大きいときや冷却水温度が高いときなど、システムの負荷が大きい状況では、バッテリーチャージモードによる充電にかかる時間が通常より長くなったり、駆動用電池への充電が実施されなくなったりする場合があります。
プラグインハイブリッドシステムの作動モードを変更できないとき

次の状況のときは、AUTO EV/HVスイッチまたはEV/HVモード切りかえスイッチを操作しても、プラグインハイブリッドシステムの作動モードを変更できません。スイッチを押して作動モードを切りかえようとすると、マルチインフォメーションディスプレイに警告メッセージが表示されます。

  • EV走行するために必要な駆動用電池の残量がないとき:EVモードまたはAUTO EV/HVモードへの切りかえができません。
  • 駆動用電池が満充電に近いとき:バッテリーチャージモードへの切りかえができません。
スイッチ操作でEVモードからほかのモードに切りかえたとき
  • HVモードまたはバッテリーチャージモードに切りかえた状態でパワースイッチをOFFにすると、作動モードの切りかえが解除され、次の始動時にはEVモードの状態にもどります。
  • AUTO EV/HVモードに切りかえた状態でパワースイッチをOFFにすると、次の始動時もAUTO EV/HVモードのまま始動します。
駆動用電池の残量が減少し、EVモードからHVモードに切りかわったあと

長い下り坂を連続して走行するなどして駆動用電池の充電量が回復すると、EV走行可能距離がマルチインフォメーションディスプレイに表示され、自動でEVモードに復帰します。

EV走行可能距離が表示されているのにEVモードに切りかわらないときは、EV/HVモード切りかえスイッチを押してEVモードに切りかえることができます。

プラグインハイブリッドシステムの作動モードごとの走行時/減速時の制御

EVモード時

EVモード時はEV走行(電気モーターのみでの走行)できますが、一部の状況ではEV走行が解除され、ガソリンエンジンを併用した走行となります。また、駆動用電池の残量が少なくなると、自動的にHVモードに切りかわります。EVモードでの走行状態を長く続けるために、次のような点にご留意ください。

  • 急加速や急減速を避け、スムーズな運転を心がけてください。急加速をくり返すと、駆動用電池の残量が早く減少します。また、急加速や速度によりEV走行が解除されます。
  • なるべく控えめな速度で走行してください。車速が高くなるとEV走行できる距離は大幅に低下します。

AUTO EV/HVモード時

通常走行では電気モーターのみでEV走行しますが、アクセルペダルを大きく踏み込むと、ガソリンエンジンが始動します。

また、駆動用電池の残量が少なくなると、EVモード時と同様に自動でHVモードに切りかわります。AUTO EV/HVモードは、登坂路や急加速が必要なときなど、大きな力が必要な走行状況に適していますが、ガソリンエンジンが始動しやすくなるため、通常はEVモードでの走行をおすすめします。

HVモード時

一般的なハイブリッド車と同じように使用することができます。

HVモード時は、走行状況に応じて、次のように作動します。

  • 停車中はガソリンエンジンを停止します。
  • 発進時は電気モーターを使って発進します。
  • 通常走行時は、ガソリンエンジンと電気モーターを効率よく制御し、燃費効率が最適になるように走行します。また、必要に応じて電気モーターを発電機として動かし、駆動用電池へ充電します。
  • アクセルペダルを大きく踏み込んだときは、ガソリンエンジンと電気モーターの両方の動力により力強く加速します。

減速時/制動時(回生ブレーキ)

車輪が電気モーターを発電機として動かし、駆動用電池へ充電します。

この回生ブレーキ機能を積極的に活用して駆動用電池に電気を蓄えることで、EV走行できる距離をのばすことができます。

また、HVモード時も燃料消費を抑えるために、回生ブレーキ機能の活用が有効です。

知識

EV モード、AUTO EV/HV モード時のガソリンエンジンの作動

駆動用電池の残量が十分にあり、EV走行可能距離がマルチインフォメーションディスプレイなどに表示されていても、一部の状況では自動でEV走行(電気モーターのみでの走行)が解除され、ガソリンエンジンを併用した走行に切りかわります。

再度EV走行が可能な状態になった場合は、自動的にEV走行に復帰します。

EV走行が自動的に解除される状況には、主に次のようなものがあります

  • 車速が約135km/h以上のとき
  • AUTO EV/HVモード時:アクセルペダルを大きく踏み込んだときや急加速時など、一時的にパワーが必要なとき
  • 炎天下に駐車したあとや、登降坂/高速走行後など、ハイブリッドシステムが高温のとき
  • ハイブリッドシステムが低温のとき
  • 外気温が約-10 ℃を下まわる状態で暖房を使用したとき
  • フロントウインドウガラスの曇り取りスイッチを押したとき
  • ガソリンエンジンの始動が必要であるとシステムが判断したとき
ガソリンエンジンが自動停止しないおそれのある状態

車両状態に応じて、ガソリンエンジンは自動的に始動/停止しますが、次の状態では自動停止しないことがあります。

  • ガソリンエンジン暖機中
  • 駆動用電池充電時
  • 駆動用電池の温度が高いとき、または低いとき
  • 暖房をかけているとき
回生ブレーキのはたらき

次の場合、車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、駆動用電池へ充電すると共に減速力を得ることができます。

  • シフトポジションがDまたはSで走行中に、アクセルペダルから足を離したとき
  • シフトポジションがDまたはSで走行中に、ブレーキペダルを踏んだとき

EVモード、AUTO EV/HVモード、HVモードを切りかえる

AUTO EV/HVスイッチまたはEV/HVモード切りかえスイッチを押すと、次のようにプラグインハイブリッドシステムの作動モードが切りかわります。

作動モードを切りかえると、点灯する表示灯も切りかわります。

EVモードまたはAUTO EV/HVモードを利用可能にするために、車両のご使用前には、あらかじめ外部電源から駆動用電池を充電してください。

駆動用電池の充電が完了していなくても車両は使用可能ですが、残量が十分にないと、EV モードまたはAUTO EV/HVモードを利用できなかったり、EV走行できる距離が短くなったりします。

AUTO EV/HVスイッチ
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現在のモード 切りかえ後のモード
EVモード

AUTO EV/HVモード

AUTO EV/HVモード

EVモード

HVモード

AUTO EV/HVモード

EV/HVモード切りかえスイッチ
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現在のモード 切りかえ後のモード
EVモード

HVモード

AUTO EV/HVモード

HVモード

HVモード

EVモード

バッテリーチャージモードに切りかえる

警告

バッテリーチャージモードの使用中はガソリンエンジンが作動するため、駐車中に使用するときは、次のことをお守りください。

  • 燃えやすいものや可燃物の付近などに車を停めない
  • 車庫内や雪が積もった場所など、換気が悪く囲まれた場所では、バッテリーチャージモードを使用しない
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EV/HVモード切りかえスイッチを押し続けます。

バッテリーチャージモード表示灯が点滅したら、スイッチから手を離します。

バッテリーチャージモードへの切りかえが完了すると、バッテリーチャージモード表示灯が点灯します。

駆動用電池が規定充電量に達すると、バッテリーチャージモードは自動で解除され、HV モードに遷移します。

バッテリーチャージモード中にAUTO EV/HVスイッチまたはEV/HVモード切りかえスイッチを押すと、バッテリーチャージモードが解除されます。

車両接近通報装置

ガソリンエンジンが停止した状態での走行時、車両の接近を周囲の人に知らせるため、車速に応じた音階で音を鳴らします。この音は、車内にも聞こえることがあります。車速が約25km/hをこえると消音します。

知識

車両接近通報装置の通報音

次のような場合は、周囲の人に通報音が聞こえにくくなることがあります。

  • 周囲の騒音が大きい
  • 雨または強風

先読みエコドライブの機能とはたらき

本システムは、これから走る道路の交通情報や走行状況をもとに作動し、優れた実燃費に貢献する機能です。先読みエコドライブの詳細については、別冊「‍マルチメディア取扱説明書‍」を参照してください。

先読み減速支援

ナビゲーションシステムに登録された先読み減速支援地点に車両が近づくと、アクセルペダルを離したあとに、走行状況に応じてエンジンブレーキ力を高め、より効率的に駆動用電池を充電します。

先読みEV/HVモード切りかえ制御

ナビゲーションシステムでのルート案内中、電力を効率よく使用するために、駆動用電池の残量や経路、交通情報といったデータをもとに、EV走行とHV走行を切りかえます。たとえば、電力の消費が多くなる高速道路や登坂路などがある場合は、駆動用電池の残量を確保するために、HV走行します。

知識

本機能は、AUTO EV/HVモード時のみ作動します。